ひばり@中長期投資

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相模ゴム2 1998年にやらかしている

世界のコンドーム市場と日本のコンドーム産業の 調査と戦略の考察 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 さんより

 

http://www.jaist.ac.jp/ks/labs/toyama/papers/2006_B_Final.pdf

p14

 

相模の 20 ミクロンコンドーム「サガミオリジナル」という非常にセンセーショ ナルな商品は 1998 年 2 月 16 日に発売された。昭和 44 年(1969 年)以来最も薄かったオ カモトの 30 ミクロンコンドーム以来、29 年間ずっと 30 ミクロンが限界であると言われて きた。それを、ラテックスゴムではなくポリウレタンという高分子を使うことで、さらに 薄い商品を開発した。日本の市場は、コンドームを付けていない感覚、つまり、薄さを求 める。オカモトは、付け心地と薄さで日本市場でシェア 1 位となった歴史がある。実際、 発売 2ヶ月で相模の国内シェアを 20%~40%前後まで高めた。この数字を見れば、ドミナ ントデザイン(市場標準デザイン)は「20 ミクロン、ポリウレタン」になっていただろ う。しかし、それは実現なかった。なぜか?それは、不良品を出したためである。 1998 年 4 月 9 日、神奈川県の抜き打ち検査で、国の規定を上回る不良品が含まれていた ことが判明し、出荷済みの約 5000 万個を自主回収する騒動があった。この騒動で、相模 ゴム工業のコンドームはイメージを大幅に低下させた。つまり、、20 ミクロン・ポリウレ タン製のコンドームによって、オカモトからシェア 1 位を奪うこの戦略は完全に失敗して しまった。このセンセーショナルな商品は、シェア 1 位にするどころかイメージ低下とい う大幅な損失を出してしまった。医療用品であり、安全性が求められるコンドームにとっ 14 て、不良品は倒産を招きかねない大きな問題である。しかし、これは相模にとっても、想 像された出来事であった。それは、ポリウレタンが以下の特性を有するからである。 ポリウレタン自体、ラテックスゴムより高額で高く、薄くすればゴムより扱いにくく、 経時劣化(紫外線や空気中の水分の影響によって自然に分解していく性質があり、3~5 年 で「生地表面の剥離・脱落」「ベトツキ」「亀裂」「変色」が発生)という特性を有するた め、安全性を求められるコンドームには難しいという難点がある。

 

p30

海外企業との対抗 日本のコンドーム市場を考える際に海外勢力との対抗がある。 技術的には日本の技術は世界一で、また海外勢力はほとんど日本のマーケットに入って こられない。(表 2.3:コンドームの国内生産と輸出を参照) つまり、技術的点から見ても海外産業は現段階で脅威にならない。 逆に、外国のマーケットに展開すれば高い技術力のためチャンスが拡大する。 あらゆる産業で Made in China が拡大して、Made in Japan が少なくなってきている 現段階で、コンドームの大多数が Made in Japan という非常に特徴的な産業である。